和室と座布団のお作

訪問先や旅館、料亭で和室に案内されたとき、戸惑った経験はありませんか?
今回は和室、なかでも座布団についてのお作法です。

座布団と言えば、「大喜利」と連想するかもしれませんが、昔から身分の高い人が用いる権力の象徴だったことから、訪問者を大切に思う心遣いの表れです。したがって座るタイミングは「どうぞ座布団をお当てください」と勧められて初めてすわります。

座布団でついやってしまいがちなのは、位置をずらしたり、裏返したり、座布団上であいさつをしてしまったり、その場で立ち上がることですが、これらはすべて不作法になるので注意が必要です。

和室に通されたら、まずは入口近くの畳の下座に座ってあいさつをします。
和室では、床の間側または入口から遠い方が上座になります。
頭を下げる角度は通常45度位です。立ったままのあいさつは、相手を見下ろすことになるので失礼にあたります。
同伴者が居る場合、自分よりも目上の人と一緒の時はその人よりも下座側に、 逆に上座側に座るよう勧められた時は、遠慮なく上座に座りましょう。
先に和室に案内され、目上の人やその家のご主人が後から来た場合は、いったん座布団から降りてあいさつをします。
座布団への座り方のポイントは、一度に座ろうとせず、軽く握った手を両脇について、膝で進みながら中央に座ります。女性は膝が隠れ、タイトすぎないスカート丈が望ましいですね。
正座が苦手な人は、足のゆび先を立てて、かかとに腰を置く跪座(きざ)の姿勢をすると、しびれにくくなり、相手にも失礼ではありません。
座布団から下りる時もすぐに真上に立たず、座ったまま数回に分けていったん下座に移動し、あいさつの後、座布団の外で立ち上がります。

日本人の奥ゆかしさとおもてなしの心が詰まった座布団。
改めて意味を理解し、いざという時スムーズな所作が出来るよう普段から意識しましょう。